脊髄損傷

1 脊髄損傷とは・・・

脊髄損傷とは、脊髄を保護する脊椎が、交通事故の衝撃で損傷することで発症する疾患です。脊髄損傷を発症するような強い衝撃を受けている場合は、脊椎が骨折したり脱臼していたりしている可能性が高いです。

 

2 脊髄損傷の3つの分類

脊髄損傷には、局所症状、全身症状そして麻痺の3つの症状があります。

  1. 局所症状について
    局所症状としては、疼痛、変形、可動域制限、打撲、膨張などの症状が身体の一部分に発症します。
  2. 全身症状について
    頚髄を損傷すると全身に障害を発症します。
    損傷の程度によりますが、損傷の度合いが重い場合は、人口呼吸が必要となるなど呼吸に大きな影響をもたらすことがあります。
    また、交感神経が遮断されてしまうために、循環障害として、血圧低下、心拍出量の低下などの症状を発症する危険もあります。
  3. 麻痺
    脊髄損傷においては、「麻痺」が発生してしまう場合があり、麻痺には完全麻痺と不全麻痺の2種類があります。
    完全麻痺の場合は損傷した部位から下の機能が完全に麻痺してしまいます。日常的な動作もできませんし、感覚もありません。

   一方、不全麻痺とは障害を負った部位ごとに発症する麻痺のことです。

脊髄損傷に通常伴って生じる神経因性膀胱障害等の障害も含めて評価し、麻痺に着目して、麻痺の範囲とその程度によって後遺障害の等級認定をします。

 

3 脊髄損傷の後遺障害認定の重要な要素

  1. 身体的所見
  2. 画像所見(MRIやCT)
  3. 医師の意見書(麻痺の具体的症状や可動域制限など)

これら3つの要素と麻痺の範囲の整合性を確認した上で総合的に判断され、後遺障害が認定されます。

②の画像所見が一番重要で、画像所見上明らかであれば後遺障害として 認定される可能性が高くなります。

 

4 脊髄損傷の後遺障害の認定をめぐる問題点

脊髄損傷が交通事故において争いとなるポイントは、「損傷の有無」です。

最も基本的なことですが、交通事故によって脊髄が損傷しているのかどうかという点です。

骨折や脱臼などの症状が画像所見などによって明らかではない場合は、脊髄損傷そのものを疑われる場合があり争いとなります。

頚髄損傷そのものが争われた場合に重要な点は、以下となります。

  1. 交通事故との因果関係
    スピード他の事故の衝撃の大きさや接触した角度などの事故の状況から、交通事故によって脊髄が損傷する程度のものであったかどうかです。
  2. 症状と脊髄損傷との整合性
    交通事故後から発症している症状が、一貫しているか、脊髄損傷による症状と見比べて、整合性があるかどうかという点もポイントとなります。
  3. 被害者の既往症との関係
    被害者がもともともっている持病などの症状についても重要となります。

 

5 脊髄損傷における裁判所の判断

脊髄損傷として後遺障害の認定をうけた事案において頚髄損傷の程度、症状他の個別事情によって、自賠責の等級よりも重く評価され、損害賠償金額が大きく異なる事案が発生しています。

  1. 36歳の男性で建築業の仕事にかかわっている方が、頚髄損傷として自賠責では7級4号の判断を受けたが、中心性頚髄損傷後の後遺障害は、上肢につき軽度の麻痺、下肢につき中度等の麻痺を残すとして3級と認定したうえで、脊柱の変形障害11級と併合して2級と認めたうえで、本件事故による受傷して入院したため仕事ができず、症状固定後も併合2級の後遺障害が現存して就労できないままであることなどから、休業期間を含め31年間の100%の労働能力喪失を認めた(大阪地方裁判所平成26年3月26日)
  2. 57歳の男性で電気調査員の仕事にかかわっている方が、左手のしびれ、左肩の鈍さ、左手指の巧緻運動障害、左下肢の脱力、左手握力低下につき、自賠責の判断は、14級10号であった事案について、頚椎損傷に由来する症状として9級10号に該当する後遺障害であるとして、12年間35%の労働能力喪失を認めた(大阪地方裁判所平成21年8月25日)
  3. 34歳の女性のエステティシャンについて、自賠責保険の後遺障害等級認定では、そしゃく障害(10級2号)、左肩関節機能障害(10級10号)で併合9級となった事案で、頚髄損傷によるミオクローヌスによるものとし、左肩関節は用廃状態、左手の能力もほぼ喪失に近く、エステティシャンとしての仕事が不可能になっただけでなく日常生活にも影響がでているとして、67歳まで75%の労働能力喪失を認めた(東京地方裁判所平成18年12月27日)

 

6 脊髄損傷の後遺障害等級などについて

前述しましたように交通事故による衝撃は、小脳から腰椎に伸びる中枢神経である脊髄の損傷につながる場合があります。脊髄を損傷すると、症状としては損傷された脊髄から手足の指先の部分において運動・知覚に障害が現れます。

脊髄損傷には大きく分けて2つの分類があります。

脊髄損傷における2分類

①完全麻痺

下肢がまったく動かず感覚もなくなった状態のこと。全く何も感じないわけではなく、受傷した部分から下の麻痺した部分にかけて、痛みを感じることもある。頚椎を損傷した場合には、四肢全てが動かないという状態になる。

②不完全麻痺

脊髄の一部が損傷して一部が麻痺をしている状態のこと。ある程度運動機能が残っている軽症から感覚知覚機能だけ残った重症なものもある。

完全麻痺、不完全麻痺どちらの場合においても、脊髄は一度傷が付くと元通りに回復しないものです。そのため、脊髄損傷を負ってしまった場合には、適正な後遺障害等級を獲得し、適正な賠償金を受け取ることができなければ、事故後の生活の安定は難しいと言えます。

脊髄損傷における後遺障害の認定基準は以下の通りになります。

等級

認定基準

1級1号

①高度の四肢麻痺が認められるもの

②高度の対麻痺が認められるもの

③中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

④中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

2級1号

①中程度の四肢麻痺が認められるもの

②軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

③中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

3級3号

①軽度の四肢麻痺が認められるもの

②中等度の対麻痺が認められるもの

5級2号

①きわめて軽易な労務のほかに服する

②一下肢に高度の単麻痺が認められるもの

7級4号

軽易な労務以外には服することができないもの

下肢に中等度の単麻痺が認めら得るもの

9級10号

通常の労務に服することができるが、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの

一下肢に軽度の単麻痺が認められるもの

12級13号

通常の労務に服することができるが、多少の障害を残すもの

運動性、支持性、巧緻性及び速度について支障が殆ど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの

運動障害が認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

脊髄損傷の後遺障害において適正な等級認定を受けるためには、高次CT画像やMRI画像などの画像所見、ならびに、医師が診察して作成した後遺障害診断書や神経学的所見など、必要な資料を整えた上で後遺障害の等級認定を得る手続きをしなければなりません。

このとき、MRIの機械も通常の0.5ステラでは画像に症状が表れないが、3ステラであれば画像に写るという場合もありますので、適正な後遺障害等級を獲得するためにも、まずは交通事故問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧め致します。

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